マイナビ進学総合研究所の研究員に、自身の経歴やキャリアについて語ってもらった。現在携わっている専門分野や、それを専門とするに至った背景についても語る。
「教育」への違和感から始まる「教育」への興味。
私はマイナビ進学総合研究所の研究員として活動しております宮内です。研究員として、日ごろから、高校生の進路選択経緯を追っているのですが、本日は逆に私自身がどのような経緯でここまでの進路を歩んで来たのかについてご紹介させていただければと存じます。
先ず、私が「教育」に興味を持ち始めたのは、高校生の頃からです。
3年生になる直前の3月、当時所属していた演劇部での最終公演を終え、いよいよ本格的に進路について考えなければいけないタイミングとなりました。その時、マスコミ系の業界にはなんとなく興味があって「社会学部」「法学部」「経済学部」などを調べましたが、イマイチピンと来ませんでした。そんな中、高校の図書館で自分の興味が持てる本はないかなぁと思って、ビビットきたのが。教育に関する本でした。
当時の私なのですが、高校に入って勉強を全くしなくなり、成績は学年360人中300番台とかなり低迷してました。どの教科もとんでもなく難しく感じ「こんなん勉強する意味あるのか」と自暴自棄になっておりました。いわゆる詰込み型の教育に対して辟易としていた中で、現代の教育を批評する教育学の本は非常に響きやすかったのかもしれません。
また、他方、小学生の頃から続けている「ボーイスカウト」の影響も大きかったかもしれません。学校とは違う共同体での体験。そこでリーダーの経験もあったので、「達成感(100キロハイキングで夜通し歩き通す)」「チームワークの大切さ(役割を適宜振りながら野営を完遂する)」「人の成長(設営に掛かる時間が日に日に短くなっていく)」という多様な経験を得ることができました。
まぁそんなわけで近隣エリアで教育学部を学べる大学を志望校に設定。学力は全く足りなかったのですが、行きたい大学が出来ればあんなに億劫だった勉強もなんとか頑張る事ができ、無事第一志望の大学の教育学部に進学することが出来ました。学生時代は主に「国際教育」「職業教育」「キャリア教育」に興味を持ち、4年間同じ個人塾でアルバイトをしながら、学生生活を過ごしました。
「初職はくじ引き」と飛び込んだ会社に13年
大学3年生にもなるといよいよ就活を始める雰囲気が立ち込めてきます。教育学部生ではありましたが、一般企業への就職を検討することにいたしました。只、いかんせん教育学部が教員にならないという点は就活の面接でもよく聞かれる所。私自身もしっかりとそれを言語化出来るほど頭を整理できなかったので、かなり苦戦しました。
そんな中「毎日コミュニケーションズ」に出会います。大学時代にフリーペーパーを制作するサークルに所属しており、当誌の広告出稿主様でもありましたので、この会社の社員の方とお話する機会を得ました。
そこで「マイナビ進学」というサービスもあることを知りました。元々教育には興味があったため、教育に携われる会社ということでエントリーし、結果内定を貰うことが出来ました。いや内定を貰った後も実際入社は悩んだのですが、ドラッカーの「最初の仕事はくじ引きである」という言葉を信じて、エイヤーで入社してみたという感じもあったと思います。入社後、辛いことがあるたび何度かこの選択を悔やみましたが、「苦しいこともまぁ経験だよね、こういう力がつくかもね。」と前向きに取り組み、結局13年辞めずにこの会社で勤務を続けています。
キャリアは「偶然の産物」
また、マイナビに入社後「キャリアコンサルタント」の資格も取得。その際に学習したキャリア開発の理論の中で、クルンボルツ氏の理論が非常に強く印象に残っています。
予期せぬ出来事がキャリアを決める、予期せぬ出来事を活用するための準備が重要という理論だ。私のキャリアを振り返ると、この理論を知らず知らずのうちに適用して生きてきた気がします。
まさに私のここまでのキャリアも「偶然の積み重ね」の賜物。
キャリア教育と聞くと「将来こうなりたい」を決めることを求めることに主眼を置かれがちですが、必ずしもそれだけが正解である必要は無いと思います。現時点で「将来こうなりたい」というモノがなくても、今、興味があることに没頭できていればそれも立派なキャリア開発じゃないでしょうか。少し後から振り返って、「なんで私ってこれが好きなんだろう」と内省し、どこかで未来へ視点を移していくことが重要です。若し、そういった没頭できるものが見つからないのであれば、是非いろいろな情報に触れて欲しいと思います。SNSを開けば色々な人のリアルな生き様に触れる事ができますし、各大学ではオープンキャンパスを積極的に開催しています。マイナビ進学を開けば、色々なセンパイの情報にも触れることが出来ます。
とにかく経験すること、仲間と共に経験すること、新しいことにチャレンジすること、知らない土地へ行くこと、そしてその経験をしっかり自分の言葉で話す機会を作ること等が重要ではないでしょうか。不確実性が高まる世の中で、多くの高校生がより前向きに自身のキャリアに向き合っていくためには何が必要なのか、マイナビ進学総合研究所のメンバーとして今後も模索していきたいと考えております。
マイナビ進学総合研究所 主席研究員
宮内 章宏
マイナビ進学総合研究所 主席研究員
宮内 章宏
名古屋大学教育学部を卒業後、 2009年毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)に入社。入社以来、高校生向け進学情報サービスの領域において、営業・PR・マーケティング・編集・企画・業務改善・システム運営等の業務を歴任。2021年より「マイナビ進学総合研究所」主席研究員に就任し、進学マーケットの調査研究を担う。国家資格「キャリアコンサルタント」をもつ。家庭では3人娘の父。